SDGs

【SDGs】目標12である「つくる責任、つかう責任」を知る

ビジネスにおけるSDGsといった言葉は、現在トレンドワードとして浸透し始めています。
しかし、その内容について正しく理解している人はまだ多くありません。
SDGsを様々な側面から切り取り、より多くの人が深く理解できるよう解説します。
本記事では、SDGsにおける17の目標のうち、目標12について詳しく解説していきます。

SDGsとは

2015年9月、ニューヨークの国連本部で行われた国連持続可能なサミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。

その中核になるのがSDGs(エスディージーズ)です。

SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、国連に加盟する全193ヵ国が達成を目指す2016年から2030年までの国際目標です。

以下の章でまとめてありますが、全部で17の目標が設定されています。
いずれの目標であっても、シンプルな表現で記載されていますが、裏を返せばこれらの目標を世界が解決しなければならない問題が存在することになります。

SDGsの17目標とは

SDGsとして各目標である17の項目を以下にまとめました。

SDGsの17目標

【目標1】貧困をなくそう
【目標2】飢餓をゼロに
【目標3】すべての人に健康と福祉を
【目標4】質の高い教育をみんなに
【目標5】ジェンダー平等を実現しよう
【目標6】安全な水とトイレを世界中に
【目標7】エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
【目標8】働きがいも経済成長も
【目標9】産業と技術革新の基盤をつくろう
【目標10】人や国の不平等をなくそう
【目標11】住み続けられるまちづくりを
【目標12】つくる責任、つかう責任
【目標13】気候変動に具体的な対策を
【目標14】海の豊かさを守ろう
【目標15】陸の豊かさも守ろう
【目標16】平和と公正をすべての人に
【目標17】パートナーシップで目標を達成しよう

現在企業でも数多くの持続可能な開発から目標を達成する動向が見受けられます。

もちろん、17目標すべてを達成する動きができるわけではありませんが、企業体質や企業の提供する価値に合わせてそれぞれの目標を組み合わせる形で取り組んでいる状況です。

以下の章から、目標12に対して解説します。

17目標のゴール12とは

SDGsゴール12は、持続可能な生産と消費の方法を実現するための目標です。
経済成長と持続可能な開発の達成には、天然資源の管理方法と有害廃棄物などの処理方法を改善し、人間活動が環境に与える負荷を削減する必要があります。

リサイクル技術で循環型経済へシフトしよう

人間として暮らす中で不可欠な「モノを買う」という行為があります。
しかしその消費活動を通して、環境破壊や経済格差に加担していない人はいないのではないでしょうか。
とりわけ産業革命以降、資源を無限のようにとらえ、発展してきた先進国は、大量生産、大量消費、大量廃棄を繰り返してきました。
そのことを顧みて、それぞれの企業は責任ある持続可能な生産方法を採用したいものです。

一方、個々の生活者も自身のライフスタイルにおいて、持続可能性を高める仕組みに配慮するような消費活動を心がけることが大切です。
地球資源は無限ではないです。

だからこそ資源を効率的に活用し、自然との共生や資源循環を目指すリサイクル技術などを活用し、循環型経済(サーキュラーエコノミー)にシフトさせていくことが、地球環境の持続性だけでなく、企業の持続性向上にもつながります。

ゴール12の問題・課題

【目標12 つくる責任、つかう責任】に対して、世界が直面している主な問題・課題は以下の内容です。
列挙している内容は、一例に過ぎません。

・消費された天然資源量を表す指標である「マテリアルフットプリント」は、全世界で人口と経済の成長をしのぐ勢いで急拡大している。2010年に732億メートルトンだったが、2017年には859億メートルトンにまで増加した。

・小売および消費段階での食品廃棄物の割合を推定することはまだ不可能だが、収穫後および輸送、保管、処理中に失われる食品の割合は、世界で13.8%であり、年間4000億ドルを超える。地域別では「中央アジアと南アジア」が20.7%と最も高く、「ヨーロッパと北アメリカ(15.7%)」がそれに続く。最も低いエリアは、「オーストラリアとニュージーランド」で5.8%となっている。

例えば、2011年国連食糧農業機関の調査によると、食品ロス大国である日本の食料廃棄量は年間約650万トンにのぼります。
1人あたり51kgにものぼります。
また、約半分が売れ残りや規格外などとして棄てられる事業のゴミ、残りの約半分は食べ残しなどにより家庭から廃棄されています。

ゴール12のターゲット

ゴール12に対して、具体的なターゲットが設けられています。
以下の内容がターゲットになります。

12.1 開発途上国の開発状況や能力を勘案しつつ、持続可能な消費と生産に関する 10年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、すべての国々が対策を講じる。

12.2 2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。

12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。

12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物資やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。

12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。

12.6 特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。

12.7 国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。

12.8 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。

12.a 開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。

12.b 雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。

12.c 開発途上国の特別なニーズや状況を十分考慮し、貧困層やコミュニティを保護する形で開発に関する悪影響を最小限に留めつつ、税制改正や、有害な補助金が存在する場合はその環境への影響を考慮してその段階的廃止などを通じ、各国の状況に応じて、市場のひずみを除去することで、浪費的な消費を奨励する、化石燃料に対する非効率な補助金を合理化する。

ゴール12の企業事例

SDGsにおけるゴール12を解決・解消するために活動している企業を一つご紹介します。

パタゴニアの「パタゴニア プロビジョンズ」

パタゴニアの食品事業になります。
同社が掲げる「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む。」という志のもと、壊れた食の流れを修復し環境を再生することを目指しています。

気候変動、土壌再生、責任ある農業生産、動物福祉の実現につながり、環境、経済、社会に包括的かつ統合的に影響オーガニックや責任ある方法で供給さを与え得るビジネスです。
消費者にとっては、こうした企業姿勢と商品そのものの力の双方から、身体も心も豊かになる商品と受け止められています。

パタゴニアでは、企業として以下の問いを設けて活動するようになったようです。

企業としての問い

・原材料調達において環境に負荷をかけていないか?
・自然資本や資源を過度に使用して商品をつくっていないか?
・利用資源の削減に配慮しているか?
・エネルギー効率や再エネを活用して生産しているか?
・商品は土壌汚染や海洋汚染に影響を与えていないか?

これらの問いに対する問題・課題を解決/解消することで、SDGsの目標を達成しようと取り組んでいます。

まとめ

SDGsにおける各目標を理解するために必要な情報を収集することが世界的問題を解決する第一歩です。

要点まとめ

・SDGsとは何か
・SDGsにおける17目標とは何か
・SDGsという抽象化された内容から各ゴールへの結びつきを理解できているか
・各ゴールは何を解決するために存在するのか
・企業事例をもとに取り組める内容はあるのか

これらの内容を把握することで、企業/個人におけるSDGsへの取り組み方が可視化されていきます。