SDGs

【SDGs】目標11である「住み続けられるまちづくりを」を知る

ビジネスにおけるSDGsといった言葉は、現在トレンドワードとして浸透し始めています。
しかし、その内容について正しく理解している人はまだ多くありません。
SDGsを様々な側面から切り取り、より多くの人が深く理解できるよう解説します。
本記事では、SDGsにおける17の目標のうち、目標11について詳しく解説していきます。

SDGsとは

2015年9月、ニューヨークの国連本部で行われた国連持続可能なサミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。

その中核になるのがSDGs(エスディージーズ)です。

SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、国連に加盟する全193ヵ国が達成を目指す2016年から2030年までの国際目標です。

以下の章でまとめてありますが、全部で17の目標が設定されています。
いずれの目標であっても、シンプルな表現で記載されていますが、裏を返せばこれらの目標を世界が解決しなければならない問題が存在することになります。

SDGsの17目標とは

SDGsとして各目標である17の項目を以下にまとめました。

SDGsの17目標

【目標1】貧困をなくそう
【目標2】飢餓をゼロに
【目標3】すべての人に健康と福祉を
【目標4】質の高い教育をみんなに
【目標5】ジェンダー平等を実現しよう
【目標6】安全な水とトイレを世界中に
【目標7】エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
【目標8】働きがいも経済成長も
【目標9】産業と技術革新の基盤をつくろう
【目標10】人や国の不平等をなくそう
【目標11】住み続けられるまちづくりを
【目標12】つくる責任、つかう責任
【目標13】気候変動に具体的な対策を
【目標14】海の豊かさを守ろう
【目標15】陸の豊かさも守ろう
【目標16】平和と公正をすべての人に
【目標17】パートナーシップで目標を達成しよう

現在企業でも数多くの持続可能な開発から目標を達成する動向が見受けられます。

もちろん、17目標すべてを達成する動きができるわけではありませんが、企業体質や企業の提供する価値に合わせてそれぞれの目標を組み合わせる形で取り組んでいる状況です。

以下の章から、目標11に対して解説します。

17目標のゴール11とは

SDGsゴール11は、都市と人間の居住地を安全で強靭かつ持続可能にするための目標です。
世界人口の半分以上が都市部で暮らしていますが、その割合は今後も増す見込みです。
交通機関や緑地の整備を含む管理体制の改善が必須です。

郷土愛からボトムアップで安心なまちをつくろう

日本は2019年から第二期地方創生―「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定を開始しました。
人口減少や高齢化が進む地方では、安心して住み続けられるまちづくりが早急に求められています。
また高齢化の進行と共に、買い物難民や、病院・施設への交通難民の移動手段確保も課題です。

ところが、これまでのような行政主導のまちづくりでは、道路や水道など老朽化するインフラの整備や修繕さえ難しくなってきています。
そこで地域の自治体と協定を結び、民間ベースで新たなまちづくりに取り組み始める企業も現れました。

また、安心して暮らせるまちづくりによるコミュニティーの活性化を通して、新しい地域経済を推進していく必要もあります。
郷土愛を創発する政策をボトムアップ型で進めるために、地域の小商や小規模事業者のビジネスコミュニティーも重要な存在です。

ゴール11の問題・課題

【目標11 住み続けられるまちづくりを】に対して、世界が直面している主な問題・課題は以下の内容です。
列挙している内容は、一例に過ぎません。

・世界中でスラムに住んでいる都市人口の割合は、2000年から2014年の間に28%から23%に減少したが、2018年には23.5%に増加しており、依然、スラムに類似した環境に住む都市住民は10億人以上もいる。

・都市住民の50%が公共交通機関への便利なアクセス(バス停または少人数交通システムから徒歩500メートル以内、または鉄道駅またはフェリー乗り場から1,000メートル以内に暮らしていること)ができていない。

・2010年〜2016年の間に、世界人口の50%以上が住むエリアの大気は悪化しており、2016年時点で都市住民10人中9人が汚染された空気の中で生活している。

例えば、2018年総務省統計局の調査によると、日本の住宅総数は6,242万戸で過去最多を記録しています。
そのうち、13.6%にあたる846万戸が空き家であり、空き家の数の割合も過去最多となりました。
地方を中心とした人口減少などが理由と推察されます。

ゴール11のターゲット

ゴール11に対して、具体的なターゲットが設けられています。
以下の内容がターゲットになります。

11.1 2030年までに、すべての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。

11.2 2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。

11.3 2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、すべての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。

11.4 世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。

11.5 2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。

11.6 2030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。

11.7 2030年までに、女性、子ども、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。

11.a 各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。

11.b 2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組 2015-2030 に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。

11.c 財政的及び技術的な支援などを通じて、後発開発途上国における現地の資材を用いた、持続可能かつ強靱(レジリエント)な建造物の整備を支援する。

ゴール11の企業事例

SDGsにおけるゴール11を解決・解消するために活動している企業を一つご紹介します。

スターバックスの「ハミングバードプログラム」

東日本大震災を受けて2012年に始まったプログラムです。
指定期間中に、プログラムの対象となるスターバックスカードで購入された商品代金の1%や新規発行時の100円が、同震災で親を亡くした子どもたちの進学を支援する団体に寄付されてきました。

震災の年に生まれた子どもが最長で6年制の大学を卒業するまでの支援を目標とする同団体に加え、2020年からは相対的貧困の子どもたちの支援のためにも寄付されます。
特定の場所で地産地消を実施するために、間接的な支援も有効なSDGsだと理解できると思います。

スターバックスでは、企業として以下の問いを設けて活動するようになったようです。

企業としての問い

・物質的な豊かさの訴求だけでなく、心の豊かな社会を築くことを訴求できているか?
・顧客だけでなく、その家族や地域住民が幸せを実感できるプロモーションになっているか?
・廃棄物の発生を防いだり、大幅に削減するためのメッセージを発信しているか?
・顧客が、自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つための啓発につながっているか?

これらの問いに対する問題・課題を解決/解消することで、SDGsの目標を達成しようと取り組んでいます。

まとめ

SDGsにおける各目標を理解するために必要な情報を収集することが世界的問題を解決する第一歩です。

要点まとめ

・SDGsとは何か
・SDGsにおける17目標とは何か
・SDGsという抽象化された内容から各ゴールへの結びつきを理解できているか
・各ゴールは何を解決するために存在するのか
・企業事例をもとに取り組める内容はあるのか

これらの内容を把握することで、企業/個人におけるSDGsへの取り組み方が可視化されていきます。