SDGs

日本はSDGsに対してどのような考えを持ち、何を取り組んでいるのか?

SDGsの普及や理解が少しずつ浸透し始めています。
しかし、国としてもどのように政策を考えられているのか把握しておく必要があります。

本記事では、日本がSDGsに対してどのような考えを持ち、取り組みを実施しているかについて解説します。

日本が掲げるSDGsにおける5つの主要原則

2016年12月22日に日本政府の持続可能な開発目標(SDGs)推進本部が決定した「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」で、SDGsに取り組むにあたって課題や分野に関係なく適用されるべき「5つの主要原則」を掲げています。

SDGsに関する新たな取り組みや、これまでやってきた取り組みを修正する際には、この「5つの原則」に沿わなければいけないということです。

普遍性

国内実施と国際協力の両面で率先して取り組み、国内の取り組みでも国際目標達成に向けた努力としての側面があります。

逆に国際協力にも繁栄の基盤を支える意義があることを意識し、また、個別のテーマでも国内実施と国際協力を連携することが有意義であることを認識して取り組む必要があります。

包摂性

「誰一人取り残さない」は、SDGsの根底に流れる基本的理念です。
あらゆる課題への取り組みにおいて、脆弱な立場に置かれた人々にも焦点を当てることが求められています。

また、国際社会における人権の尊重とジェンダー平等は、SDGsの全目標の実現に不可欠なものです。
あらゆる取り組みにおいて常にそれらの視点を確保し施策に反映されていることが重要です。

参画型

脆弱な立場におかれた人々を含む一人ひとりが、施策の対象として取り残されないことを確保するのみならず、自らが当事って主体的に参加し、持続可能な社会の実現に貢献できるよう、あらゆるステークホルダーや当事者の参画を重視し、全員参加型で取り組むことが求められています。

統合性

SDGsは、経済・社会・環境の3分野の相互関連性・相乗効果を重視しつつ、統合的解決の視点を持って取り組む必要があります。

経済だけ重視した取り組みも、環境・社会に配慮するあまり経済的に発展しない取り組みでもいけません。

透明性と説明責任

全員参加型の取り組みであることを確保するうえでも、透明性と説明責任は重要です。

日本の取り組みの実施の状況について高い透明性を確保して定期的に評価・公表して説明責任を果たし、新たな施策の立案や施策の修正に当たっては公表された評価の結果を踏まえて行います。

日本政府が示す8つの優先課題とは

SDGsの達成に向けて、2016年12月に中長期国家戦略「SDGs実施指針」を策定し、「8つの優先課題」が示されました。

以下の項目が8つの優先課題になっています。

日本政府の8つの優先課題

①あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現
②健康・長寿の達成
③成長市場の創出、地域活性化m科学技術イノベーション
④持続可能で強靭な国土と質の高いインフラの整備
⑤省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策・循環型社会
⑥生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
⑦平和と安全・安心社会の実現
⑧SDGs実施推進の体制と手段

8つの優先課題に関して推進される具体的な施策は、毎年改定されている「SDGsアクションプラン」に記載されます。

2019年12月に公表された「SDGsアクションプラン2020」では、「2030年の目標達成に向けた『行動の10年』の始まり」とすべく、以下の3本柱を掲げています。

3本の柱

①ビジネスとイノベーション 〜SDGsと連動する「Society5.0」の推進〜
②SDGsを原動力とした地方創生、強靱かつ環境に優しい魅力的なまちづくり
③SDGsの担い手としての次世代・女性のエンパワーメント

この3本柱を中核に「日本のSDGsモデル」の展開の加速を目指しています。

日本のSDGs達成度はどの程度なのか

「持続可能な開発レポート2020」では、各国のSDGsの達成状況を分析しています。
日本はアジアで最上位ですが、近年、その順位は下落傾向にあります。
「持続可能な開発レポート2020」では、166カ国が評価対象国になっており、国ごとにスコアが算出され、SDGsの達成度をランキングしています。

上位の国を見ると、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツなどの欧州諸国で占められています。

一方、最下位の166位は中央アフリカで、下位には、南スーダン、チャド、ソマリア、リペリアといったサハラ以南のアフリカの国々が名を連ねています。

SDGs 指数のスコアが最も上昇したのはコートジボワール、ブルキナファソ、カンボジアでした。

一方、ベネズエラ、ジンバブエ、コンゴ共和国といった紛争や内戦、そのほかの経済的・社会的な問題を抱える国々では、SDGsへの取り組みが後退した結果、スコアが大きく下落しています。

気になる日本の順位は、2017年は11位、2018年と2019年は15位でしたが、2020年は17位に順位を落としています。
SDGsはある時点で一度達成しても、その後状況が悪化すれば、評価は下がるため、継続的に問題に取り組むことが必要です。
もちろん、日本が目標を達成するためには、他国の協力が不可欠であるといえます。

日本の悪化しているSDGsの目標は?

「持続可能な開発レポート2020」における「ジェンダー・ギャップ指数2020」で、調査対象153カ国のうち日本は121位でした。

男女の給与格差をはじめとするジェンダー不平等が根強く残っているほか、再生可能エネルギーの割合の低さ、漁業資源の管理など、日本の課題を浮き彫りにしています。

また、このレポートはトレンドも併せて公表します。近年、国内における格差拡大が問題になっていますが、それを証明するかのように、目標1「人や国の不平等をなくそう」は、17の目標のうちでただひとつだけ「悪化」と評価されました。

まとめ

ここまでで日本におけるSDGsの考え方・取り組みについて解説しました。

要点まとめ

・日本におけるSDGsで掲げた5つの主要原則
・日本が示す8つの優先課題
・日本のSDGs達成度
・日本が注力すべきSDGsの目標

これらを理解し実施することで、ビジネスに限らず様々な場面で平和性や平等性を実現できる可能性があります。
特に、ダイバーシティの強化、経営/管理職の女性進出、ジェンダー平等といった性別に関する内容でビジネス発展することで、様々な好影響を持たらすと考えられます。