副業

副業はノウハウよりも考え方が大切〜仮説力を身につけろ!〜

副業に取り組んだはいいものの、思ったよりも成果に結びついていない人は少なくありません。

ノウハウコレクターのように、とにかく方法論ばかりに目を向けて肝心の考え方を無視してしまう人が多いです。

作業マニュアルのように、誰もが同じノウハウを利用して同じ行動を実行したとしても、得られる成果は同じになってしまいます。

だからこそ、頭一つ抜きに出ることができません。

本記事では、ノウハウよりも『仮説力』を重視して副業へ取り組むべきという内容を解説していきます。

『仮説を立てる』という仕事を怠ってはならない

結論から言うと、何か情報を集めたり情報に対して分析を行う前に、自分自身の頭の中だけで『仮説を立てる』という仕事を行うことです。

副業を始めたばかりの人は、自分自身の副業に対する仮説がありません。

これは当然で、取り組んだ経験がないわけですから、誰かの情報を元にトレースして取り組む以外ありません。

しかし、ある程度知識を持ち始めた段階あるいは作業に取り組める状態になった場合、単純に誰かのノウハウに従ったやり方だけ行なっていても効果は一向に現れてきません。

なぜなら、ノウハウを提供した人とあなたの現在の状況は異なり、環境も違えば取り組んでいる人物も違います。

つまり、本当の意味で完全なトレースをすることは不可能ということです。

そのため、ノウハウ以上に重要になるのが、自分自身の頭の中で自分に対する仮説を立てる力が必要になってきます。

そして、なぜ多くの人が先に仮説を立てて仕事(副業)ができないのか、その根本的な原因についても解説できればなと思います。

なぜ仮説力を身につけることは大切なのか?

ここではわかりやすく具体例を交えながら解説していきたいと思います。

とある2人のコンサルタントが新宿にある業績赤字のラーメン屋の経営者から、業績改善依頼を受けたと想像してください。

・Aさん – 一般的なコンサルタント

・Bさん – 仮説力を身につけているコンサルタント

このAさんとBさんの仕事の違いを確認していきます。

前提として2人ともラーメン業界に特に詳しいわけではありません。

そのため、何かしらの秘策を持っているということはなく、ゼロから自分自身で提案を考える必要があります。

もちろん依頼を受けた以上は、1度はお店に出向いているとします。

Aさん – 一般的なコンサルタント

Aさんはラーメンビジネスに詳しくないため、まずは情報収集から始めようと考えました。

多くの情報に触れれば、インプットした情報の中に答えがあるはずだと考えたわけです。

いざ動き出した結果、見るべき情報は山のようにあり、店舗の収支、顧客データ、店舗前の人通り数、店舗周辺の競合環境、ラーメン業界全体のトレンドなど、他にも成功したラーメン店の事例と比較、メニュー表の価格帯、調べだすと際限なく情報があふれていました。

Aさんは大変だと思いながらも、これらの情報を全部一つ一つ調べていき、ヒントになるものはないかと考えます。

このような情報は詳細に調べだすとキリがありません。

また、それぞれの各データに対して様々な解釈ができてしまいます。

そのため、どれだけ調べ上げたとしても本質的な問題は見つけることができません。

例えば、直近のデータで麺の原価が上昇していることに気づいたとします。

その原因として小麦の材料費が業界全体で上昇しているのだとすれば、これを考えたところで意味がないわけです。

なぜなら、これは小麦の生産率と原価の問題であって、店舗の問題ではないわけですから、業績改善につながるとは言い切れません。

そして、もしも仮説力を持たずに考えてしまうと「この高騰している小麦を安く仕入れる方法はないのか?」という的外れな問題を解決しようとしてしまいます。

ただ、Aさんのようにあなたも調べていたものから別の関連情報をどんどん見ちゃうことってありませんか?

Aさんも情報を漁り続け、最終的には情報収集で良い提案を思いつきませんでした。

そこで、Aさんはとりあえず「お客さんの声を聞いてみよう!」「競合と食べ比べて分析しよう!」と考え、自ら行動して情報を集めることにしました。

しかし、行動した結果お客さんの声もレビューサイトと変わらず、競合との食べ比べもそれぞれの良さがあるだけで知見を得ることはできませんでした。

そうこうしているうちに何のヒントも得られないまま、提案日を迎えることになりました。

Aさんは追い詰められた結果、「新商品の提案」という形でクライアントにプレゼンを実施します。

当然、クライアントは新商品の事案などは常に考えていることですから、評価はイマイチです。

Bさん – 仮説力を身につけているコンサルタント

Bさんは仮説を大切にした考え方のため、いきなりデータを調べることはありません。

ここで改めてAさんの考え方を説明すると、Aさんは仮説を立てていないため、ウロウロと情報に左右されながらゴールを導こうとした考え方でした。

一方でBさんの場合、最初に仮説を立てます。

仮説を立てたあとに、調査・分析を行います。

ここで比較するとよくわかると思います。

Aさんは調査・分析→仮説を立てています。

Bさんは仮説→調査・分析を実行しています。

そのため、Bさんは何も調べずに仮説で論理を積み上げていきます。

今回の内容では、業績赤字のラーメン店の業績改善です。

業績に関わる利益を出すためには、売り上げを上げるか、コストを下げるかしかありません。

どんなビジネスであってもこの売り上げを上げるか、コストを下げるかしかありません。

ここで、売り上げとコストのそれぞれを因数分解してみましょう。

売り上げ = 客単価 × 客数(新規客 + リピート客)

ざっくりと分解すると上記の内容になると思います。

コスト = 変動費 × 客数 + 固定費

また、コストは材料費・人件費・家賃・光熱費などです。

ラーメン一杯を売るためにかかる材料費のような変動費、家賃のように客数にかかわらず一定の費用がかかる固定費に分けることができますよね。

さて、このようにそれぞれを分解することができました。

もしもここまで難しい!と感じてしまう人がいれば、いい機会なので覚えてしまっても良いかもしれません。

たとえどれだけ情報を漁ったとしても今回のケースだと最終的な提案として、

・客単価を上げるか

・客数を上げるか

・変動費を下げるか

・固定費を下げるか

この4つに着目することでしか根本的な業績改善にはつながりません。

このような前提を置くだけでも、かなり思考する内容は絞り込めるようになります。

改めてお伝えしておきますが、Bさんはここまで何も調べる必要はありません。

仮説で立てられる内容だからです。

そして、ここから仮説を積み上げていきます。

どのように仮説を立てていくのか

引き続き、例に則って解説していきます。

ここから、仮説力を最大限に発揮していきます。

今回のケースだと、いくら調べていないからといって何も情報がないということはあり得ません。

依頼を受けた時点で、クライアントがどんな内容で悩んでいるのか、店舗の印象など調べなくても一定の情報を持っているはずです。

さらに仮説を立てると、もともと業績があったからこそ経営できている店舗であるため、黒字から赤字に転落しているわけです。

当然土地を変えることはないので、固定費が変動することはなく、商品もガラッと一新していない限りは変化はないはずです。

つまり、客数が年々減っていることが原因で業績に変化を及ぼしているということになります。

ここで問題への仮説が絞れてきます。

1. 赤字転落は客数が減ったから

2. 周辺飲食店の増加による相対的な客数減少

3. 客層を絞る競合店舗の増加

4. 新規顧客の減少

このような問題点の仮説に対して、解決策の仮説も立てていく必要があります。

なぜなら、問題に対する仮説がいくら正しかったとしても、それを解決できなければ何の意味もないからです。

そして、Bさんの解決策の仮説は次のようなものになりました。

結論 新規顧客増加のため、外国人顧客の集客強化を行う
理由 定番の安くて品質の高いチェーン店・既存競合店に太刀打ちできない
施策 英語の看板・メニュー、海外レビューサイトの評価強化

ここまで仮説を立てることのみでしたが、ここからようやく調査・分析を行っていきます。

調査・分析に関する具体的なアクションプランは以下のようなものです。

・これまでの客数の推移

・3年前・2年前・1年前・現在の飲食店の分布

・リピート客の変化についての調査

レビューサイトのコメント、Googleマップなどによる周辺飲食店状況の把握、店舗データの客数の推移、3つの調査・分析で行えます。

仮説が明確なのでアクションプランもここまで絞り込むことができます。

このような順序で調査・分析をしていくことで、仮説が正しいか正しくないのかを判断していきます。

今回のケースでは、Bさんの仮説は概ね正しいと仮定します。

次に、Bさんは自分自身の解決策について調査していきます。

調べる内容は以下のものです。

・新宿駅周辺の外国人旅行客数

・海外レビューサイトでの評価

・老舗と新規店舗に来店した海外旅行客の比較データ

Aさんと比較してみても、ここまで仮説した内容を立証するだけなので、実際の調査・分析に関する時間も圧倒的に効率よく行えることが予想できますよね。

これらの調査・分析をもとに、論理を積み上げて問題解決への対策を実行することができるはずです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

あなたならどちらのコンサルタントに頼んで良かったと感じましたか?

そして、仮説をしっかり立てた上で取り組むことがいかに大切か理解できたでしょうか。

副業に関しても同じで、ノウハウばかりに意識を向けて自分の取り組みの問題点と解決策がうやむやになり、正しいノウハウのはずなのに正しい使い方ができていない人がいます。

それは、調査・分析から始めてしまい、自分自身の副業に関する環境状態や知識などの把握ができておらず、多くの情報だけをみて正しくない仮説を立てているからです。

あなたが仮説からしっかり立てることができていれば、必要なノウハウだけを見つけ、取り組み、成果を上げるだけです。

情報は何となく集めても何も使い道はありません。

何のために情報を集めにいくのか、何を立証するためにどの情報が欲しいのか、明確にできてはじめて情報は収集しにいくべきです。

ぜひ、ビジネスの考え方として少しでも役に立てていただければ幸いです。