SDGs

SDGsへの考え方は大手企業だけでなく中小企業も重要になる

ビジネスにおけるSDGsの考え方は、大手企業だけでなく中小企業に関しても重要な取り組みになります。
「世界の誰も取り残さない」ためには、むしろ中小企業・スタートアップベンチャーの方が重要かもしれません。

本記事は、大手・中小・スタートアップ限りませんが、中小企業を中心にSDGsへの取り組みについて解説します。

中小企業もSDGsへの取り組みが重要になる

SDGsはすべての企業に関係のある目標です。
中小企業もまた、SDGsと無関係ではありません。
SDGsを「どのように実践するか」は、中小企業のビジネスの持続可能性にも大きな影響を与えます。

中小企業がSDGsを実践する上で重要なポイントは、次の2つのポイントです。

2つのポイント

①「CSR調達」への適合
②ソーシャルビジネス化の推進

「CSR調達」は、取引先を選ぶ際の基準として価格や機能だけなく、CSRの状況も評価に含める調達方法のことです。
環境への影響力がある大企業は、機関投資家やNGO(非政府組織)などからESG問題への取り組みをチェックされる立場にあります。
そこでこれらの企業では、サプライチェーンマネジメントにCSR調達を取り入れる動きを加速させています。
こうしたサプライチェーンに中小企業が加わるには、SDGsの目標実現に向けたCSRの実践が必要となります。

また、ESG問題はビジネス環境を脅かすと同時に、一種の「市場」になりつつあります。
従来は政治が担ってきたESG問題も企業のノウハウを応用することで、②のソーシャルビジネス化が可能になります。
農業における障害者の活躍を進める「農福連携」や、業内保育所を設置してシングルマザーを雇用し、人材不足を解消するなどのケースはソーシャルビジネス化の典型例です。
ESG問題の深刻化とSDGsの普及は、顧客の価値観と市場のあり方を変えています。

だからこそ、中小企業にとってCSR調達への適合力の向上とソーシャルビジネス化の推進が、SDGsの時代の「生存戦略」となり始めています。

SDGs貢献は持続可能な開発ができる企業になる

ESG 問題はすべての企業の持続可能性を脅かしています。
持続可能な企業になるにはCSR調達やソーシャルビジネスのように、自然環境や社会に配慮したピジネス、マネジメントを実践する必要があります。

そのためには近視眼的な視野でビジネスをとらえるのではなく、SDGsを通じてより大きな視野でビジネスをとらえ直すことが不可欠です。
企業の持続可能性は短期的な市場の動向だけに適合する「部分最適」ではなく、中長期的な社会と自然環境の変化に適合する「全体最適」によって生み出されます。

企業は市場の一員であり、市場は社会の一部です。

そして社会は、自然環境の一部に過ぎません。
顧客のニーズや経営課題は市場の動向だけに基づくのではなく、社会と自然環境の影響を受けています。

企業く市場<社会く自然環境

顧客や市場だけを意識した近視眼的な部分最適では、社会や自然環境、ひいてはビジネス環境の持続可能性にプラスの影響を与えたり、その変化に対応したりすることはできません。

それはESG問題の当事者でもある顧客のニーズに応えられないことを意味します。
全体最適によって企業の持続可能性を高めるためには、SDGsを参考にしながらより大きな視野でビジネスを捉え直し、企業と社会の持続可能性を両立させるために必要な要素を知り、プラスの影響を与えるための具体策をビジネスに組み込む必要があります。

そのため、持続可能な開発ができる企業になるための第一歩は、SDGsを知ることから始まるわけです。

企業にとってもSDGsは有用性が高い

企業にとってなぜSDGsは有用性が高いか以下の項目を確認してください。

SDGsの有用性

①ビジネスの視野を広げる
②ビジネスの整理ができる
③ビジネスのヒントを得られる

これらの項目がなぜ獲得できるのか解説していきます。

ビジネスの視野を広げる

SDGsは、これからのビジネスの視野を広げるための有用なツールとして利用することができます。
SDGsの基本理念「誰一人取り残さない」は取り残された人々が、持続可能な社会とビジネスにおける重要なバートナーであることを教えてくれています。
この理念をいかに実践して具現化するかが、ビジネスの視野を広げ、成長可能性とリスク低減を両立させることに関わってきます。

ESG問題の主要テーマとして、これまで主に政府や自治体などの公的セクター、社会福祉法人など民間の非営利セクターによって担われてきました。
企業は一定規模の企業に課された障害者の雇用義務など、ごく一部の補助的な役割を担っているに過ぎず、「取り残された人々」は福祉による「支援」の対象でした。

しかし、ESG問題の深刻化によって、企業は従来型の支援だけでなく、「雇用」を通じた社会的弱者とのパートナーシップの可能性に気付き始めました。
障害者雇用における障害の特性に応じた業務見直しや、シングルマザーの育児環境に応じた柔軟な勤務形態の導入などは、こうした可能性に基づく「誰一人取り残さない」の実践であると言えます。

「取り残された人々」がビジネスに参加できれば経済的に自立し、購買力を持つことができます。
それは貧困というESG問題の解決と共に、市場の拡大を意味します。

企業は利益を追求するからこそビジネスの視野を広げ、公正さを重んじて「取り残された人々」を受け入れる必要があります。
そのためにも、予断や偏見、ビジネスの古い常載を疑い、打破して、彼らとのパートナーシップの方法を考え、することが求められます。

ビジネスの整理ができる

SDGsはビジネスの整理ができるツールでもあります。
企業において「決算」はビジネスの「経済性の整理」です。
企業は決算にって自社の現状を把握し、今後のビジネスの展開を構想します。

これからの企業はSDGsを参考にして、ESG問題への対応を想定したビジネスの整理を行う必要があります。
ビジネスの整理で最初に行うのは、「自社のビジネスに影響を与えるESG問題にはどのようなものがあるのか?」を知ることです。

これに対してSDGsは、17の目標を通じて網羅的にESG問題を提示しており、ツールとして次のような使い方ができます。

ツールとしての使い方

①SDGsの各目標を参考に、自社のビジネスに影響を与えるESG問題を知る
②自社の活動をSDGsの枠組みでチェックし、実践できている目標と実践できていない目標を整理する
③整理した結果をビジネスの改善に活用する

SDGsはビジネスの「共通言語」になりつつあります。
その結果、SDGsの実践について社外から説明を求められる機会が今後ますます増えていきます。
今後の経営戦略の精度を向上させるための欠かせない取り組みになります。

ビジネスのヒントを得られる

SDGsは企業の目標と立ち向かうべきESG問題を示しています。
その中には従来のビジネスモデルとは異なる、新しい「ビジネスのヒント」が含まれています。
これからのビジネスの成長にヒントを積極的に活かしていくことが求められています。

SDGsが示す新しいビジネスのヒントには、大きく次の2つがあります。

新しいビジネスのヒント

①ビジネスのニーズとしてのESG問題
②ソーシャルビジネスのテーマとしての17の目標

ESG問題は「地球規模で困難な課題」の集合体です。
ビジネスの観点で見れば、それはニーズの集合体でもあります。

例えば「ソーシャルビジネス」は、ESG問題の直接的な解決を目的としたビジネスの考え方です。
SDGsはソーシャルビジネスの17種類のテーマを示しているとも言えるでしょう。
SDGsの時代は目の前の顧客のニーズだけでなく、より広範囲なESG問題がニーズとなる時代です。

そこに、ソーシャルビジネスとなり得る新しいビジネスの可能性が存在するはずです。
これまで企業は、ESG問題をビジネスのメインテーマに据えていませんでした。

しかし、これからの企業はビジネスにESG問題を実装することが求められます。
だからこそ、SDGsが示すヒントから、新しいビジネスの可能性を探ることが急務となっているわけです。

まとめ

大手・中小・スタートアップ限りませんが、中小企業を中心にSDGsへの取り組みについて解説しました。
特に、ビジネスにおけるSDGsの有用性は重要になります。

要点まとめ

①ビジネスの視野を広げる
②ビジネスの整理ができる
③ビジネスのヒントを得られる

これらの指標をうまく活用し、企業内の業務に落とし込むことから実行していくと良いと思います。
ただし、企業が過度にSDGsを意識しすぎると、内容の難しさに身動きが取れなくなります。

そのため、「決まったやり方がない」ことを前提に、自社で取り組める内容から実践していけばと思います。