目まぐるしく変化するビジネスの世界は、最新のマネジメントについて研究され続けており、今では経営に必ず求められるスキルの一つになります。
プレイヤーとして組織で動いてきた人が、部下を持つことによって様々な悩みにぶち当たり、これらを解決するためにマネジメントについて学ぶ人が非常に増えてきております。
しかし、一概にマネジメントといっても何を参考にしていいかわからないし、根本的にマネジメントについて理解できないという悩みを持った人が非常に多いです。
そこで今回は「マネジメントの最新の考え方」について解説させていただきます。
Contents
マネジメントとは
マネジメントという言葉を日本語のように使っているかと思いますが、改めてマネジメントとは何かを考えていきたいと思います。
マネジメントとは、直訳すれば「経営」や「管理」などの意味を持ちますが、企業におけるマネジメントとは「組織の管理や運営」などを意味します。
それは組織の成果を上げるために経営資源(ヒト・モノ・カネ)を最大限に活用し、あらかじめ設定した組織の目標に沿って成果を上げることです。
マネジメントの定義は数多くありますが、一般的に認識されている定義は、1973年に刊行した「マネジメント」から生まれたとされております。
次章では「マネジメント」の本の署名で知られているマネジメントの父について解説せていただきます。
マネジメントの父
「マネジメントの父」と称されるのは、経営学者として知られる「ピーター・ファーディナンド・ドラッカー」です。
マネジメントはドラッカーが生みの親であるとされています。
ドラッカーはコンサルタントや経済学者として活躍し、ビジネスに価値ある経営や経済に関する著作を多く執筆しています。
日本でドラッカーの名前が一般的にも有名になったのは、2009年に刊行された「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの”マネジメント”を読んだら」の影響が強いです。
映画化され、内容が初心者でも理解しやすくまとめられています。
筆者もお勧めの本なので是非読んでみてください。
ドラッカーによるマネジメントの定義
ドラッカーは著書の中で、「マネジメント」及び「マネージャー」について以下のように定義しております。
・マネジメント → 組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関
・マネージャー → 組織の成果に責任を持つ物
組織の成果の責任者であるマネージャーには、道具、機能、機関をうまく活用し、目標達成に向けた的確なマネジメントが求められます。
マネジメントの最新の考え方
マネジメントの最新の考え方で、今大きな注目を集めているのがパフォーマンスマネジメントです。
実はパフォーマンスマネジメント自体は約50年前から存在している言葉ですが、2012年からアメリカで見直そうと動きがあり、改めて取り入れられるようになったマネジメント手法です。
従来とは違う、最新のパフォーマンスマネジメントを解説させていただきます。
パフォーマンスマネジメントとは?
パフォーマンスマネジメントとは、社員の行動を目標結果に繋げる最新のマネジメント手法のことです。
従来のMBO(目標管理制度)や年次評価に代わる、人材マネジメントのあり方として注目されてます。
パフォーマンスマネジメントの目的としては下記2つの事を同時に行うことです。
・社員の能力とモチベーションを最大限に引き出す
・ビジネスの成果生み出すマネジメント
では何故、従来のMBOからパフォーマンスマネジメントに変化していったのでしょうか。
従来のMBOとの違いや問題点
MBO(目標管理制度)との違いや問題点を解説する前に、MBOについて簡単にご説明させていただきます。
MBOとは、プロジェクトごとに設定した目標の達成度を個人で管理する手法のことを示します。
具体的には、目標達成をするステップとして1年を1サイクルと考え、「目標設定→行動→結果→評価」と繰り返し行うフレームワークの事をいいます。
主に、業務の効率化や社員のモチベーション向上に役立つとされていました。
MBOとのパフォーマンスマネジメントの違い
MBOとパフォーマンスマネジメントも共に1年ごとに「目標設定→行動→結果→評価」を繰り返す手法で、年度当初に上司が部下に面談し目標設定を行います。
では具体的な中身で何が違うのでしょうか。
MBO
・目標達成の結果に着目し評価
・部下が行動計画通りにできたかチェックする
パフォーマンスマネジメント
・目標達成のプロセスに着目し評価
・部下のモチベーションを上げる
またパフォーマンスマネジメントでは、部下が結果を出せばすぐにフィートバックし評価します。
面談を1年に1回と決めてないことも違いますね。
MBOの問題点
MBOの問題点を簡潔にいうと、社員のパフォーマンスやモチベーションが低くなってしまうことです。
多くの企業でMBOは評価のみで活用されるわけでなく、給料や報酬にも結び付いて活用されるのがほとんどです。
そのせいで自らの目標設定を低めに行ってしまいます。
これでは、モチベーション向上は難しく上司と部下の人間関係にもヒビが入ります。
もちろん社員のパフォーマンスも上がらない状態が続きます。
パフォーマンスマネジメントの5つの特徴
パフォーマンスマネジメントの最新の5つの特徴を解説させていただきます。
すぐにフィードバックする
とにかくフィードバックが多いのが特徴です。
MBOでは1年に1,2回の面談でしたが、パフォーマンスマネジメントでは数週間おきに面談を行う企業もあります。
それにより、目標の再設定など必要に応じで軌道修正が早く行われるようになります。
未来の成長にフォーカスする
リアルタイムでフィードバックを行うため、常に未来に主軸を置くことも特徴の一つです。
基本的に過去のフィードバックは行いません。
目標達成に向け新しい対策を絶えず出し、また指導し成長を見守ります。
強みにフォーカスする
未来志向の視点で面談することで何が悪かったではなく、どうしたら目標が達成できるかに着目します。
未来志向で目標達成に向けて動くので、部下の過ちの指摘よりも部下の強みにフォーカスして取り組むことも特徴の一つです。
部下自身自らの強みを生かしきれてないことが意外と多いです。
現状を部下に認識してもらい、かつあなたが部下の強みを最大限発揮できるよう導くことが重要です。
チームで評価する
個の評価ではなく、プロジェクトのチームで評価することも一つの特徴です。
個の目標達成にフォーカスを当てて評価すると必ずチーム内がうまくいきません。
例えば、チーム達成目標を300万の売上に設定したとします。
Aさん、Bさん、Cさん、と優秀な社員がそれぞれ130万、120万、110万と売上を上げました。
全員平均ノルマを見るといい評価がもらえると考えます。
しかし個で評価すると優劣がつきCさんの評価は低くなってしまいます。
するとCさんはモチベーションが下がり、次第に頑張らなくなります。
最悪の場合、チームにとって必要な情報をAさんやBさんに隠して2人を出し抜こうと考えるかもしれません。
しかしこのケースをチームで評価したとすると、全員が高い評価をもらえ、かつチームに役立つ情報をどんどん皆で共有し、結果的に全体の売上も上がります。
個の馬力より、チームの馬力が合わさった方が強いのは当たり前ですね。
人間関係の構築ができる
未来に向けて定期的にフィードバックを行い、チームに向けて話し合いを重ねることで、上司と部下の人間関係の構築ができます。
どんなに上司と部下が優秀でも、人間関係がぎくしゃくしていては成果は通常より上がりません。
人間関係の構築をすることが、パフォーマンスマネジメントを行う企業においての最大のメリットになります。
パフォーマンスマネジメントの4つの効果
パフォーマンスマネジメントを取り組むことが企業にもたらす効果は以下の通りです。
・個人・チーム・組織のパフォーマンス向上が図れる
・上司と部下の信頼関係が深まる
・社員の主体性が高くなる
・目標達成をより確実に遂行できる
パフォーマンスマネジメントは組織の目標達成の近道であり、企業全体の底上げにも大きく役立つと思います。
最後に
いかがでしたでしょうか?
ここでは「マネジメントの最新の考え方」について解説させていただきました。
目まぐるしく変化するビジネスの中、日々マネジメントも形を変え進化していきます。
どんな人でも必ず部下を持つ時が訪れ、その時は様々な課題で悩むことでしょう。
経営資源の「ヒト・モノ・カネ」で一番扱いが難しいのが人です。
しかし「ヒト」は感情の生き物であり、その感情次第で100%でも120%でも力を出せる生き物です。
部下が力を出せるのかどうかあなたのマネジメント次第です。
部下を持つ立場の全ての人に、少しでもお役に立てれば幸いです。
最後まで一読していただき、ありがとうございました。