SDGs

SDGsとMDGsの意味や違いについて徹底解説!

現在、2030年に向けてSDGsに関する動向が増加しています。
しかし、まだ取り組みが知れ渡った段階で、理解/実践へとつながっている動きは少ないです。
また、SDGsと聞いてどれほどの人が意味を理解できているか難しいところです。
そのため、本記事では”SDGsとは何か”からどんな経緯で成り立っていきたかを解説します。

SDGsとは

2015年9月、ニューヨークの国連本部で行われた国連持続可能なサミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。

その中核になるのがSDGs(エスディージーズ)です。

SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、国連に加盟する全193ヵ国が達成を目指す2016年から2030年までの国際目標です。

以下の章でまとめてありますが、全部で17の目標が設定されています。
いずれの目標であっても、シンプルな表現で記載されていますが、裏を返せばこれらの目標を世界が解決しなければならない問題が存在することになります。

SDGsのもとになったMDGs

以下の8つの項目がMDGsで掲げられていた目標です。

MDGsの8つの目標

①極度の貧困と飢餓の撲滅
②初等教育の完全普及の達成
③ジェンダー平等の推進と女性の地位向上
④児童死亡率の引き下げ
⑤妊産婦の健康の改善
⑥HIV/エイズ、マラリア、その他の疫病の蔓延防止
⑦環境の持続可能性の確保
⑧開発のためのグローバルなパートナーシップの構築

SDGsのもとになったのが、2000年9月の国連ミレニアム・サミットで採択された国連ミレニアム宣言をもとにまとめられたMDGs (Millennium Development Goals: ミレニアム開発目標)です。

21世紀の国際社会の目標として、国連に加盟する全193カ国と23の国際機関が合意したMDGsは、「2015年まで」という期限を定めて、8つの目標を掲げました。
以来、2005年の国連首脳会合、2010年のMDGs国連首脳会合などの場で、首脳レベルで達成に向けた取り組みの強化することを確認し合いながら、世界が達成に向けて取り組んだ結果、目標①「極度の貧困と飢餓の撲滅」では、「2015年までに1日1ドル未満で生活する人々の割合を半減させる」を5年も早い2010年に達成したほか、小学校に通う子どもの数は史上最高に達し、それまで男児に比べて低かった女児の就学率もほぼ同じになりました。

また、幼児死亡率は劇的に低下し、安全な飲み水へのアクセスは大幅に拡大しました。
このようにMDGsは一定の成果を上げましたが、2000年からの15年間で全目標を達成することはできませんでした。

とくに、世界でも最も発展が遅れているサハラ以南のアフリカ(サブサハラ・アフリカ)では、目標④「児童死亡率の引き下げ」が未達に終わるなど、進捗の遅れが大きな課題とされました。その課題はSDGsに引き継がれています。

SDGsとMDGsの違いについて

MDGsの8つの目標は、主に途上国に対して設定された目標でした。
その目標が先進国主導で決められたこともあり、途上国の意向が反映されていないという問題点も指摘されていました。

その反省を踏まえつつ、SDGsではMDGsで達成できなかった目標の達成に取り組むとともに、気候変動への対策、雇用や労働のあり方、都市のあり方、格差是正、平和、イノベーションなどの新たな項目を追加してアップデートされています。

そして、途上国だけでなく、先進国を含めたすべての国々を対象に、豊かさを追求しながら地球環境、人権を守ることに重きが置かれることになりました。
MDGsからSDGsへの重要な変化は、MDGsが南北問題に焦点を当て、途上国の助けようとするメッセージが強かったのに対し、SDGsは先進国も含めたすで地球規模の社会課題を解決することに重きが置かれたことです。

その結果、SDGsはMDGsを発展させるかたちでは8から17に増えて、より包括的な目標設定になりました。

SDGsを「5つのP」で切り分ける

17の目標は「5つのP」で考えるとわかりやすいSDGsの17の目標を「5つのP」で考えると、SDGsが目指すものをおおまかに理解できます。

People(人間)

すべての人の人権が尊重され、尊厳をもち、平等に、潜在能力を発揮できるようにする。
貧困と飢餓を終わせ、ジェンダー平等を達成し、すべての人に教育、水と衛生、康的な生活を保障する。

Prosperity(豊かさ)

すべての人が豊かで充実した生活を送れるようにし、自然と調和する経済、社会、技術の進展を確保する。

Planet(地球)

持続可能な消費と生産、天然資源の持続可能な管理、気候変動への緊急対応などを通じ、地球の劣化を防ぐことにより、現在と将来の世代のニーズを支えられるようにする。

Peace(平和)

平和、公正で、恐怖と暴力のない、すべての人が受け入れられ、参加できる包摂的な世界を目指す。

Partnership(パートナーシップ)

グローバルな連帯強化の精神に基づき、政府、民間セクター、市民社会、国連機関を含む多様な関係者が参加する、グローバルなパートナーシップにより実現を目指す。

この「5つのP」からわかるように、SDGsは「人々」が協力(バートナーシップ)」しながら、「豊か」で「平和」に「地球」で暮らすという誰もが望む当たり前のことを目指しています。

日本政府が示す8つの優先課題とは

SDGsの達成に向けて、2016年12月に中長期国家戦略「SDGs実施指針」を策定し、「8つの優先課題」が示されました。

以下の項目が8つの優先課題になっています。

日本政府の8つの優先課題

①あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現
②健康・長寿の達成
③成長市場の創出、地域活性化m科学技術イノベーション
④持続可能で強靭な国土と質の高いインフラの整備
⑤省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策・循環型社会
⑥生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
⑦平和と安全・安心社会の実現
⑧SDGs実施推進の体制と手段

8つの優先課題に関して推進される具体的な施策は、毎年改定されている「SDGsアクションプラン」に記載されます。

2019年12月に公表された「SDGsアクションプラン2020」では、「2030年の目標達成に向けた『行動の10年』の始まり」とすべく、以下の3本柱を掲げています。

3本の柱

①ビジネスとイノベーション 〜SDGsと連動する「Society5.0」の推進〜
②SDGsを原動力とした地方創生、強靱かつ環境に優しい魅力的なまちづくり
③SDGsの担い手としての次世代・女性のエンパワーメント

この3本柱を中核に「日本のSDGsモデル」の展開の加速を目指しています。

まとめ

改めてSDGsを理解するために、最小限ではありますがまとめました。

要点まとめ

・SDGsとは何か
・SDGsのもとになったMDGs
・SDGsとMDGsの違い
・SDGsにおける「5つのP」
・日本政府の8つの優先課題

これらを把握しておけば、世界/企業/個人どれにおいても、何かしらの持続可能な開発目標が立てられた時、自身の考えや施策に取り組むことができるはずです。