SDGsを達成するためには、実は国や企業だけでなく個人レベルの貢献も重要になります。
地球上に住む一人ひとりの取り組みによっても大切な行動になります。
「誰1人取り残さない」ことを目指すSDGsにとって、世界中の全ての人に無関係ではありません。
本記事では、個人でもSDGsに取り組む必要性について解説していきます。
Contents
他人ごとでなく自分ごととして捉える
人々がSDGsについて他人ごとと考えてしまえば、2030年の達成は実現できません。
世界中の一人ひとりがさまざまな問題について知り、自分ごととして考え行動することが未来の地球を守るために必要といえます。
自分と違う人の立場をしっかり考える
SDGsの17の目標を見て、「自分にはあまり関係なさそうだ」と思ったのなら、それはSDGsへの向き合い方として正しいとはいえません。
SDGsは「誰一人取り残さない」世界の実現を目指しています。
私たちはそのうちの「一人」ですから、17の目標すべてに無関係ではないです。
大切なのは、17の目標すべてを「自分ごと」として考えることです。
自分ごととして考えるためには、想像力が必要になります。
ここで、「もし誰になるかを選べない状況で誰かと入れ替わるとしたら」を考えてみましょう。
男性に入れ替わるか、女性に入れ替わるかわかりません。
このときに、男性と女性のどちらに入れ替わりたいでしょうか。
現実の世界に目を向けると、男女は平等ではなく、さまざまな性の格差があります。
2020年3月に国連開発計画(UNDP)が公表した「世界価値観調査」によると、世界の約9割の男女が女性に対して何らかの偏見を持っているといいます。
たとえば、「男性のほうが政治的指導者に向いている」と考える人は世界の男女の約半数を占め、「雇用数が少ないときは男性のほうが働く権利がある」と考える人は世界の男女の40%以上もいました。
驚くべきことに、「男性に暴力を振るうことは正当である」と考える人は28%もいました。
男性か女性かを選べないときに、男女差別がある世界と、男女平等の世界のどちらがいいと考えるでしょうか。
ジェンダー平等を実現するためには、世界の問題の現実を把握し、立場や状況が異なる人のことを自分ごとに考えれば、行動が変化しSDGsへの貢献に繋がるはずです。
世界的潮流になってきたエシカル消費
「エシカル消費」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
「エシカル」とは「倫理的な」という意味です。
地球環境や人、社会、地域に配慮した消費をする「エシカル消費」に対する注目が日本でも高まりつつあります。
消費者が倫理的に選ぶエシカル消費
貧困、人権、気候変動などの世界的な社会課題を解決しないといけない機運が高まるなか、日常的にする買い物でフェアトレード商品や障がい者の支援につながる商品、リサイクル商品などを選んで購入する消費者がいます。
このように環境や人権に対して十分配慮された商品やサービスを選択して買い求めるのが「エシカル(倫理的な)消費」です。
とくにヨーロッパでは、環境や人権に対する意識の高まりもあり、小売店では「MSC認証」「FSC認証」といった、いわゆるエシカル認証を受けた商品が増えています。
私たちが買うすべての商品は、誰かがどこかでつくったものです。
これまで消費者は自分たちが使う商品の裏側にどんな背景があるかにはあまり関心を示してきませんでした。
ところが、劣悪な環境で働く子どもによってつくられていたり、絶滅しそうな動植物が犠牲になっていることがわかると、そうした商品は「買わない」という選択をする消費者が増えてきています。
日本でも「エシカル消費」という言葉の認知度は高まってきています。
しかし、2020年2月に消費者庁が公表した「『倫理的消費(エシカル消費)』に関する消費者意識調査報告書」によると「エシカル」という言葉を知っている人は、わずか8.8かいませんでした。
また、同調査では「SDGsという言葉を知っていますか」と聞いていますが、68.2%の人が「知らない」と答えています。
まずは、本記事でもそうですが、エシカル消費・SDGsともに言葉から把握/理解していくフェーズが今後も必要になると感じています。
フェアトレード商品とは?
消費者として購入する商品を選ぶことでSDGsに貢献できます。
そのときに、「フェアトレード」という視点で商品を選ぶのはひとつの方法です。
その際に参考になるのが「国際フェアトレード認証ラベル」です。
日本はフェアトレード商品の購入は少ない
「フェアトレード(FairTrade:公正取引)」は、発展途上国でつくられた作物や製品を適正な価格で継続的に取引することで、生産者の持続的な生活向上を支える仕組みです。
フェアトレードという言葉があるのは、アンフェアなトレード(不公正取引)が存在しているからにほかなりません。
アンフェアなトレードの代表的なものとして、カカオが広く知られていますが、コーヒーや紅茶、バナナ、ワイン、スパイス、蜂蜜、スポーツボールなど多岐に渡ります。
フェアトレードはヨーロッパを中心に1960年代から始まり、世界へと広がる運動になりました。
近年は日本でもフェアトレードに取り組む団体や企業、フェアトレード商品を扱うお店が増えています。
たとえば、スターバックスでは、毎月20日を「EthicallyConnecting Day〜エシカルなコーヒーの日〜」として、国際フェアトレード認証のコーヒー豆を使ったアイスコーヒーを提供しています。
しかし、ヨーロッパや北米に比べ、日本はまだまだ消費者の購入額が少ないのが現状です。
国際フェアトレード認証ラベルがついたフェアトレード商品を買うことは、目標12「つくる責任つかう責任」を達成するための手段のひとつです。
消費者は企業監視する重要な役割を持つ
私たちは消費者として、さまざまなものを購入し、消費しています。
日ごろ消費者としての責任について考えることは多くないかもしれませんが、エシカル志向が高まるなか、消費者としての責任を意識する姿勢が求められるようになっています。
消費者の責任を果たす意識
「消費者の責任を果たす」という意識をもつ国際消費者機構(Cl:ConsumersInternationaが提唱した「消費者の責任」には以下の5つがあります。
①商品や価格などの情報に疑問や関心をもつ責任
②公正な取引が実現されるように主張し、行動する責任
③自分の消費行動が社会(特に弱者)に与える影響を自覚する責任
④自分の消費行動が環境に与える影響を自覚する責任
⑤消費者として団結し、連帯する責任
これらの責任を果たす消費行動は、「エシカル消費」にほかならず、SDGsの達成に貢献する行動です。
児童労働を行っていたナイキに対して、消費者は不買運動を起こすことで②、③の責任を果たしたことは、同社に対する大きな圧力になりました。
このことは、消費者が「エシカル」視点を持って企業を監視することで、企業そして世界をよりよい方向に動かすことができる力があることを端的に示しています。
消費者庁が2020年2月に公表した『『倫理的消費(エシカル消費)』に関する消費者意識調査報告書」において、消費者に「エシカル商品・サービスの提供が企業イメージの向上につながると思うか」と聞いたところ、79.6%が「そう思う」と答えています。
企業側から見て、エシカルな商品やサービスを提供することが消費者の好感度アップにつながるのであれば、エシカル商品・サービスの提供に積極的な行動をとるはずです。
消費者が自分ごとの関心を持つこと
例えば、消費者が安い価格のために児童労働を容認してしまえば、児童労働はなくならないでしょう。
たとえ、公害が起こっても、「自分が住むところとは関係ない」と多くの人が無関心であれば、同じような問題はなくならないでしょう。
だからこそ、消費者は購入する商品やサービスの背景にある環境問題や人権問題に関心を持つ必要があります。
SDGsは、企業に率先して環境と人権を守ることを求めています。
しかし、企業は利益を追求する性がある組織体です。
だからこそ消費者は、環境や人権をないがしろにするような行き過ぎた利益追求をしないように企業を監視し、行き過ぎたことを見つけた場合は行動する責任があるといえます。
まとめ
個人でもSDGsに取り組む必要性について解説しました。
・他人ごとでなく自分ごとで捉える
・エシカル消費によって倫理観が統一される
・フェアトレードによって不平等をなくす
・消費者責任も発生している意識を持つ
特に、個人の取り組みとして日頃の行動に関与する購買が意識しやすいと思います。
バタフライ・エフェクト(バタフライ効果)といった言葉もありますが、ほんの些細な事がさまざまな要因を引き起こした後、非常に大きな事象の引き金に繋がることがあるという考え方を指します。
まさに、SDGsは過去から持ち越されてきた小さな積み重ねによる負の遺産で警鐘されています。
ぜひ、個人の取り組みを見直してみるのもアリかもしれません。