SDGsの17目標の一つに、目標11である「住み続けられるまちづくりを」といったゴールが存在します。
住み続けられるまちづくり言っても、様々な場面に対して企業のアプローチ方法があります。
本記事では、目標11である「住み続けられるまちづくりを」に対してアプローチする企業の具体例をご紹介します。
Contents
17目標のゴール11とは
SDGsゴール11は、都市と人間の居住地を安全で強靭かつ持続可能にするための目標です。
世界人口の半分以上が都市部で暮らしていますが、その割合は今後も増す見込みです。
交通機関や緑地の整備を含む管理体制の改善が必須です。
郷土愛からボトムアップで安心なまちをつくろう
日本は2019年から第二期地方創生―「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定を開始しました。
人口減少や高齢化が進む地方では、安心して住み続けられるまちづくりが早急に求められています。
また高齢化の進行と共に、買い物難民や、病院・施設への交通難民の移動手段確保も課題です。
ところが、これまでのような行政主導のまちづくりでは、道路や水道など老朽化するインフラの整備や修繕さえ難しくなってきています。
そこで地域の自治体と協定を結び、民間ベースで新たなまちづくりに取り組み始める企業も現れました。
また、安心して暮らせるまちづくりによるコミュニティーの活性化を通して、新しい地域経済を推進していく必要もあります。
郷土愛を創発する政策をボトムアップ型で進めるために、地域の小商や小規模事業者のビジネスコミュニティーも重要な存在です。
ゴール11の企業事例
SDGsにおけるゴール11を解決・解消するために活動している企業を4つご紹介します。
DoconomyAB.の「DO」
スウェーデンのフィンテック企業、Doconomyが発行した、ユニークなクレジットカードがあります。
購入した商品やサービスから排出されるCO2を自動計測し、アプリを通じて利用者に表示する仕組みがあります。
プレミアム版のカードには、CO2排出量によって利用が制限される機能もあります。
モノの豊かさに貢献したこれまでの資本主義経済のあり方を問うような発想が、かえって心の豊かさを醸成し、消費者から受け入れられています。
DoconomyAB.では、企業として以下の問いを設けて活動するようになったようです。
・物質的な豊かさだけでなく、心の豊かさを育む商品になっているか?
・若者や障害者を含むすべての人びとが、生産的な雇用と働きがいのある人間らしい仕事をしているか?
・生産過程において同一労働同一賃金を達成することに配慮しているか?
これらの問いに対する問題・課題を解決/解消することで、SDGsの目標を達成しようと取り組んでいます。
Everlane
シンプルで上質な衣類とファッション雑貨を販売する、アメリカ発のオンラインブランド「Everlane」があります。
原料の調達から、契約工場の賃金や労働環境にまで貫かれた、エシカルへのこだわりでも共感を呼んでいます。
しかし最大の特徴は、「徹底した透明性」を創出しています。
消費者の知る権利を尊重し、各商品の材料費から人件費、輸送費まで、原価を開示しています。
結果として各工程それぞれにおいての適正価格が実現し、関わる人すべての豊かさにつながっています。
Everlaneでは、企業として以下の問いを設けて活動するようになったようです。
・顧客や取引先が豊かな生活を得ることが可能な提供価格になっているか?
・不当に自社だけの豊かさを追求した価格と利益確保になっていないか?
・その価格は関係者と地域の幸せに貢献できているか?
・ロ短期的な利益だけでなく、長期的な安定と安心を実現する価格設定になっているか?
これらの問いに対する問題・課題を解決/解消することで、SDGsの目標を達成しようと取り組んでいます。
ユニリーバの「Shakti」
世界的な日用品・食品メーカー、ユニリーバは社会課題をビジネスで解決する先駆者的な存在でもあります。
インドから始まったプロジェクト「Shakti」(シャクティ)はその好例になります。
これは流通網のない農村部の女性を職業教育し、衛生製品などの販売を委託する仕組みです。
コミュニティの衛生向上や女性の自立につながると同時に、流通網を広げ事業としても成功しています。
同社は現在、インドでのシェア1位の消費財メーカーです。
ユニリーバの「Shakti」では、企業として以下の問いを設けて活動するようになったようです。
・自社のサプライチェーンに携わるパートナーが豊かな生活を得ることができているか?
・地域コミュニティーや地域経済の発展に寄与する流通拠点となっているか?
・フェアトレードのような公平な格差是正と同時に、安定した仕入れを確保できる自立支援や農業支援を行っているか?
これらの問いに対する問題・課題を解決/解消することで、SDGsの目標を達成しようと取り組んでいます。
スターバックスの「ハミングバードプログラム」
東日本大震災を受けて2012年に始まったプログラムです。
指定期間中に、プログラムの対象となるスターバックスカードで購入された商品代金の1%や新規発行時の100円が、同震災で親を亡くした子どもたちの進学を支援する団体に寄付されてきました。
震災の年に生まれた子どもが最長で6年制の大学を卒業するまでの支援を目標とする同団体に加え、2020年からは相対的貧困の子どもたちの支援のためにも寄付されます。
特定の場所で地産地消を実施するために、間接的な支援も有効なSDGsだと理解できると思います。
スターバックスでは、企業として以下の問いを設けて活動するようになったようです。
・物質的な豊かさの訴求だけでなく、心の豊かな社会を築くことを訴求できているか?
・顧客だけでなく、その家族や地域住民が幸せを実感できるプロモーションになっているか?
・廃棄物の発生を防いだり、大幅に削減するためのメッセージを発信しているか?
・顧客が、自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つための啓発につながっているか?
これらの問いに対する問題・課題を解決/解消することで、SDGsの目標を達成しようと取り組んでいます。
まとめ
ここまででSDGsにおける目標11である「住み続けられるまちづくりを」について活動している企業をご紹介しました。
紹介した企業の共通点は、「心の豊かさを育むビジネス」であることがよく分かると思います。
SDGsにおける目標11に対して、都市と人間の居住地を安全で強靭かつ持続可能にするために、誰もが基本的な資源やサービスを確保できるよう企業活動が行われています。